【AI活用の新常識】プロンプトを「繰り返す」だけで精度が上がる?Google Research最新論文を徹底解説
「同じことを2回言うだけで、AIの回答精度が上がる」——そんな驚きの研究結果がGoogle Researchから発表されました。今回は、AIを「相手として理解する」視点から、この論文の意義をわかりやすく解説します。
はじめに:なぜ「繰り返す」だけで効果があるのか?
ChatGPTやClaudeなど、生成AIを業務で活用する企業が増えています。しかし、「思ったような回答が返ってこない」「もっと精度を上げたい」という声も多く聞かれます。
今回ご紹介するGoogle Researchの論文「Prompt Repetition Improves Non-Reasoning LLMs」(2025年12月公開)は、そんな課題に対する意外なほどシンプルな解決策を提示しています。
「プロンプトを2回繰り返すだけで、AIの回答精度が向上する」
一見すると「そんな単純なことで?」と思われるかもしれません。しかし、この背景にはAIの仕組みを深く理解することで見えてくる、非常に論理的な理由があります。
AIの「読み方」を理解する:因果言語モデルの特性
AIは「前から順番に」読んでいる
現在の主要なAI(GPT、Claude、Gemini、DeepSeekなど)は、「因果言語モデル(Causal Language Model)」というアーキテクチャを採用しています。これは簡単に言うと、テキストを「左から右へ」「前から後ろへ」順番に読んでいくという仕組みです。

レストランでの注文に例えると
想像してください。あなたがレストランで注文をするとき、メニューを最初から最後まで一度だけ読んで、すべてを記憶しなければならないとしたらどうでしょう?
- 最初に見た料理(前菜)は、後から見るメイン料理との比較ができない
- デザートを見てから「やっぱり前菜はあれにしよう」と戻れない
- 全体の構成を把握しないまま、一つずつ判断していく
AIも同じです。「質問」→「選択肢A」→「選択肢B」→「選択肢C」という順番で読むと、質問を読んでいる時点では選択肢の内容がわかりません。メニューを何度も見直しますよね。
「繰り返し」がもたらす効果
2回読むことで「全体像」が見える
プロンプトを繰り返すということは、同じ内容を2回読ませるということ。1回目で全体の構造を把握し、2回目でより深く理解できるようになります。
【具体例】通常のプロンプトと繰り返しプロンプト
■ 通常のプロンプト
日本の首都はどこですか? A) 大阪 B) 東京 C) 京都
■ 繰り返しプロンプト(Prompt Repetition)
日本の首都はどこですか? A) 大阪 B) 東京 C) 京都
日本の首都はどこですか? A) 大阪 B) 東京 C) 京都
たったこれだけで、AIは質問と選択肢の関係性をより正確に理解できるようになります。
論文の実験結果:数字で見る効果
Google Researchのチームは、主要な7つのAIモデルで実験を行いました。
テスト対象モデル
- Gemini 2.0 Flash / Flash Lite
- GPT-4o-mini / GPT-4o
- Claude 3.5 Haiku / Sonnet
- DeepSeek V3
驚きの結果
| 指標 | 結果 |
| テスト数 | 70のベンチマーク×モデル組み合わせ |
| 精度向上(有意差あり) | 41勝 / 5敗 / 24引き分け |
| レイテンシ(応答速度) | 変化なし |
| 生成トークン数 | 変化なし |
| 特に効果が高いタスク | 21.33% → 97.33%(NameIndexタスク) |
特筆すべきは、応答速度や出力トークン数は変わらないという点。つまり、コスト増加なしで精度向上が実現できるのです。
ビジネスでの活用シーン
この知見は、以下のようなビジネスシーンで特に有効です。
1. 選択肢から回答を選ぶタスク
- カスタマーサポートのFAQ分類
- アンケート回答の自動カテゴリ分け
- 商品レビューのセンチメント分析
2. 複雑な文脈理解が必要なタスク
- 長文ドキュメントの要約
- 契約書のリスク箇所特定
- 技術文書の品質チェック
3. 順序が重要なタスク
- プロジェクトの優先順位付け
- 候補者のランキング
- リスク評価の重み付け
「相手を知る」ことの重要性
この論文から得られる最も重要な示唆は、AIを「道具」としてではなく「相手」として理解することの重要性です。
人間同士のコミュニケーションでも、相手の特性を理解することで、より効果的な対話ができます。
- 相手が視覚的に理解するタイプなら、図や表を使う
- 相手が論理的に考えるタイプなら、根拠を明確に示す
- 相手が全体像を先に把握したいタイプなら、結論から話す
AIも同じです。「前から順番に読む」という特性を理解すれば、「だったら2回読ませよう」という発想が生まれます。これは単なるテクニックではなく、AIとの「対話の質」を根本から高めるアプローチなのです。
明日から使える実践ガイド
Step 1: 現在のプロンプトを確認
まず、現在使用しているプロンプトの構造を確認します。特に「質問→選択肢」や「文脈→指示」のような構造のものをリストアップしましょう。
Step 2: 繰り返しを適用
プロンプト全体を2回繰り返すよう修正します。API経由で利用している場合は、入力を2回連結するだけでOKです。
Step 3: 効果を検証
同じタスクで通常版と繰り返し版の精度を比較します。特に選択問題や分類タスクで効果が顕著に現れるはずです。
注意点:推論モードでは効果が限定的
一点注意があります。「Think step by step」のような推論を促すプロンプトを使用している場合、繰り返しの効果は中立からわずかにプラス程度にとどまります。
なぜなら、推論モードのAIは自ら入力を繰り返す傾向があるためです。これも「相手を知る」ことで理解できる点ですね。
まとめ:シンプルな改善から始めよう
今回ご紹介した「プロンプト繰り返し」は、導入コストゼロで実践できる改善手法です。
AIの精度向上は、高度なプロンプトエンジニアリングだけでなく、「AIがどう読んでいるか」を理解することからも始まる。
株式会社フィールフロウでは、このようなAIの特性を深く理解した上で、お客様のビジネス課題に最適なAIソリューションをご提案しています。「AIをもっと活用したい」「精度を上げたい」といったお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。
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参考文献
Yaniv Leviathan, Matan Kalman, Yossi Matias. “Prompt Repetition Improves Non-Reasoning LLMs”. arXiv:2512.14982, December 2025.