Visual Studio Code v1.107:Agent 機能が本格拡張。背景処理・組織共有エージェント対応で“次世代AI IDE”へ進化
新バージョン v1.107 の概要
この 2025年11月リリースである v1.107 は 2025年12月10日時点で公開済みのバージョンで、正式リリースおよび Insider 版の両方で提供されている。今回のアップデートは特に「エージェント(AI・自動化ツール)統合」を核とした内容であり、今後の開発スタイルを大きく変える可能性を持つ。 Visual Studio Code
エージェント機能強化の背景
近年、AIによるコード生成や補助、タスク自動化の重要性が増しており、エディタにおける「人間×AI」のシームレスな統合が求められている。VS Code はその流れを踏まえ、今回のアップデートでエージェント機能を大幅に拡張し、様々な形態(ローカル/クラウド/背景処理など)のエージェントを統合的に扱えるようにした。これにより、単なる補助ツールではなく「開発ワークフローの自動化基盤」としての役割が強化された。
リリース対象と入手方法
Windows、macOS、Linux 向けにそれぞれ x64/Arm/deb/rpm 等のバイナリが提供されており、公式サイトまたは自動更新経由で v1.107 を導入可能。Insider ビルドも併せて公開されており、新機能をいち早く試したいユーザーはそちらを使える。 Visual Studio Code+1
主な新機能と改善点
背景/クラウド/ローカルエージェントの統合管理
従来、ローカルでのみ動いていたエージェント(例えばコード補完・生成など)に加えて、今回からクラウド型や背景実行型のエージェントを同一 UI 上で管理可能になった。さらにそれらを状況に応じて切り替えて使えるため、対話的なコーディング支援からバッチ処理、自動タスク実行までをひとつの環境で実現できる。背景タスクは作業ウィンドウを閉じても継続動作し、必要に応じて再接続できるようになった。 Visual Studio Code
カスタムエージェントの組織共有(Experimental)
個人またはワークスペース単位で定義されていたカスタムエージェントを、組織レベルで共有できる実験的機能が導入された。これにより、チームで標準化されたエージェントを配布・利用することで、開発効率や品質の均一化を図りやすくなる。設定をオンにすることで GitHub アカウントを通じてカスタムエージェントが利用可能になる。 Visual Studio Code
チャット UI とセッション管理の改善
チャットベースのエージェント操作画面に、セッション一覧ビューが統合された。これにより過去のチャットやエージェント実行内容を一覧で確認でき、ファイル変更数や進行状況の把握が容易に。狭い画面では簡易リスト、広い画面ではサイドバー形式など、UI の柔軟性も改善された。さらに、以前はチャットを閉じるとキャンセルされていたローカルエージェントが、バックグラウンドで実行を継続できるようになった。 Visual Studio Code
チャットでのターミナル操作・ツール連携強化
チャット内からターミナルコマンドを実行し、その出力を対話形式で参照できるようになった。実行結果は xterm.js を使った統合ターミナルビューで残り、色付けなども反映されるため、ログ確認やデバッグがしやすい。また、コマンドの開始時刻・所要時間・終了コードも表示され、コマンドの結果が明確に把握できる。必要に応じてセッション毎に「すべてのコマンドを自動承認」する設定も可能。これにより、チャットでのやりとりだけでコード生成から実行、テスト、確認までワンストップで行いやすい。 Visual Studio Code
安全性と柔軟性を高める fetch/ファイル操作の改善
チャットエージェントが外部 URL のコンテンツを取得する際、ドメインおよび使用の都度承認を求める操作フローが導入された。不用意なデータ取得や不正なドメインアクセスを防ぎ、安全性が向上した。また、動的ウェブサイト(SPA など)に対応する fetch ツールの改善や、.gitignore や files.exclude で除外されているファイルを検索対象に含められるようになった。そのため大規模モノリポジトリや複雑な構造のプロジェクトでも、エージェントによる検索や変更が柔軟に行える。さらに、チャットからのファイル編集時には敏感なファイル(settings.json や package.json など)に対して diff 表示と承認ステップが挟まれるようになり、安全性と透明性が高まった。 Visual Studio Code
実務での活かしどころと注意点
開発ワークフローの効率化と自動化
背景エージェントやカスタムエージェントを活用することで、定型的なリファクタリング、コード生成、ドキュメント整備、テスト生成などを自動化できる。これにより開発者はクリエイティブな設計やレビューといった付加価値の高い作業に集中できる。特に複数タスクを並列で処理できる背景/クラウドエージェントは、ビルド時間の短縮やバッチ処理の自動化などに有効だ。
チームでの標準化とエージェント共有の可能性
組織で共通のカスタムエージェントを定義・共有することで、コード品質やワークフローの均一化が可能になる。例えばレビュー用エージェント、ドキュメンテーション生成エージェント、セキュリティチェックエージェントなどを用意すれば、誰が使っても同じ品質を保ちやすい。また、エージェントの設定や挙動が可視化されている点も、チーム運用には大きなメリットとなる。
セキュリティと運用ポリシーの整備が重要
一方で、エージェントによる自動 fetch やファイル変更などは、不用意に使うとセキュリティリスクや誤操作につながる可能性がある。組織で導入する場合は、承認ワークフローやアクセス制限、どのエージェントを誰が実行できるかのルール策定が重要だ。また、カスタムエージェントの内容や権限管理にも注意が必要。
Feel Flow 的な考察:生成AI活用を前提にしたコードエディタの進化
なぜ今「エージェント統合型エディタ」が重要か
生成AI の進化により、コード生成や自動補完だけでなく、「思考」「設計」「実装」「テスト」「デプロイ」の一部をエージェントに任せる流れが現実味を帯びている。VS Code v1.107 は、まさにその「人間+AI」の協働を現場レベルで後押しするアップデートであり、開発現場のDX/AI活用を大きく前進させるものだ。
社内開発導入時のステップとリスク管理
まずは小規模プロジェクトで、背景エージェントやカスタムエージェントを試すことで効果を検証するのが現実的だ。その過程で、誰がどのエージェントを使えるか、どのような操作に対して承認が必要かを決めておく。また、fetch や外部アクセス、ファイル変更に伴うリスク管理を含めた運用ポリシーを整備することで、安全かつ効率的なAI活用環境を整えることができる。
まとめ
VS Code v1.107 は、エージェントの統合管理、背景/クラウド実行対応、カスタムエージェントの組織共有、チャット UI の改善、セキュリティ強化など、AI・自動化時代の開発に即した大きな進化を遂げた。生成AIを前提とした開発スタイルやチームでの統一運用を考えている組織にとって、このアップデートは大きな追い風となる。とはいえ、同時に運用ルールやセキュリティ対応を整えることが不可欠だ。まずは小規模な導入から始めて、その効果やリスクを見極めながら段階的に拡大していくことをお勧めする。